「借景」
借景:
庭園外の山や樹木などの風景を、庭を形成する背景として取り入れたもの。
日本の造園技法のひとつ。
なんてすばらしい、言葉でしょう。
もっともっと、日本の家づくりにおいて、「借景」という概念が重要視されていいと思うんです。
自分の敷地だけでなく道路の街路樹、空き地、畑、お隣のお庭、公園、前の家の屋根の上の空などなど、
自分の敷地から目に入る地球の恵みをすべて享受して、リラックスできるきもちのいい家をつくりましょう。
だって、借景ってお金かからないんですよ。笑
固定資産税もかからないんですよ。
超ふとっぱらな地球レンタル。ありがたく楽しみましょう!
「こんな家に住みたいです」「憧れの家です」と言ってくださる、その多くは、わが家の窓から見える景色に向けられたものだと思います。
自然からの贈り物である森や空は、季節ごとに、また時間の移ろいとともに様々な美しい景色を見せてくれます。
たしかに、このような土地を見つけ出すのは簡単ではないかもしれません。
ですが、実はわが家にも秘密があるのです。
目の前の森を道路に対して正面に対峙すると、こんな感じで木が手前に生えているので、うっそうとした感じになります。
(これは家を建てる前の写真です)
しかし、少し斜めを向くと、土地の奥にのり面(坂)部分があり、その下に木々が生えているので、森までの距離が遠く、見おろす形になります。
見おろすということは、室内から見える空の分量が多くなるということ。
これはぜひとも覚えておいて欲しいのですが、
室内から空が広く見えれば見えるほど、開放感が増します。
それらをわかっていたので、我が家は道路に対して平行に建てるのではなく、30度ほど斜めに振って、窓からの景色が一番きれいに見えるように家を配置したのです。
どうしょうか?
二枚の写真を比べてみると、開放感がまるで違うと思いませんか?
借景も、どこを切り取るかで、気持ちよさは全然変わるんです。
さらに、二枚目では窓の前にウッドデッキをつけることで、
自分の敷地の地面部分を視線的に隠してしまい、より借景の森や空に視線のラインが遠く遠く向かうようにしています。
じつはこれ、リゾート地などにあるインフィニティプールのような効果を生み出しています。
インフィニティ―プールも自分のいる建物の境界が見えずに、その向こうの海まで水面がつながっているかのように感じるので、こんなに広く美しいプライベート空間を手にしている喜びと、どこまでも視線が抜ける開放感であんなにきもちよく感じるんです。
片田舎の森と、DIYのウッドデッキを、5つ星ホテルなんかにあるインフィニティ―プールに例えてしまうなんて…どうかしてます。はい、知ってます。笑
まぁ、でもあのすばらしいテクニックを使ってね、すこしでも家が気持ちよくなるのなら…
リゾートホテルにいるかのような気分に少しでもなれたのなら…
最高じゃないですか!笑
当然、北側の道路に対して、家はななめに建っていますので、建てている最中はご近所の方はびっくりしたことと思いますが、けっこう広めの土地なこともあって問題にはなりませんでした。
(ちなみに、斜めに建てた結果、リビングが真南を向いています。
もともと東南向きの住宅地でした。ラッキー!)
たとえ同じ条件で建てるにしても、借景を最高の状態にして調理するかどうかは、施主・もしくは設計者次第ということです。
(おそらく一般的なハウスメーカーさんは斜めに建てることはすすめないと思いますw)
これは南側に借景があるような土地に限定した話ではありません。
例えば、おとなりの素晴らしいお庭のモミジ。
自分のお庭に植えるのももちろん良いのですが、おとなりにあるモミジが見えるように、間取りや窓の配置を考えると、視線は家の中からおとなりの敷地までスーッと伸びます。
前にもおはなししましたが、人の脳は視線の行き止まりまでを自分の空間と認識します。
つまり、おとなりのモミジがあるところまでが自分の空間だと錯覚できるというわけです。
それに関しては詳しくはこちらの記事で↓


錯覚バンザイ!
わたしが「間取りマジック」と呼んでいる理由も、このように視線や認識の錯覚を利用して、住空間はもっと気持ちよくなる!という思いからなのです。
というわけで、そんな借景や間取りマジックを活かしたアドバイスやプランニングを頼んでみたい方は下のお問い合わせボタンからお気軽に問い合わせてみてくださいね。
でもこれって、こんなにめぐまれた土地に出会えたerisaさんだけにしか当てはまらないでしょ。なんて声も聞こえてきそうなのでw
より一般的な住宅地で借景を得るためのヒントも今後お伝えしていきたいと思います!
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